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「LIMIT OF LOVE 海猿」

映画の「LIMIT OF LOVE 海猿」である。
個人的にはこの作品がシリーズでも一番好きだ。

鹿児島湾内で座礁し、転覆するカーフェリーから救助をするという設定である。
乗客が600人以上と多く、船の傾きも予想以上に早い事で危機が迫る。
さらに仙崎は、妊婦の本間(大塚寧々)、足をケガして自力歩行ができない海老原(吹越満)と行動を共にしていたために、爆発に巻き込まれて船に閉じ込められてしまう、という状況だ。

改めて見直すと、結構強引な展開が多い。
なんで妊婦と避難するのにわざわざいったん駐車場フロアに降りるのかとか、霞ヶ関にいる下川があっという間に鹿児島に着いているとか。
ただ、全体の展開はなかなか見せるものがある。
90秒の潜水でなんとか逃げ道を確保したかと思ったら、またもや爆破に巻き込まれて吉岡が動けなくなってしまう。
とりあえず吉岡を置いて、要救護者2人を煙突のはしごを昇って助けられそうになったかと思うと、船が一気に傾いて沈んでしまう。
この、「助かった」と思わせておいて新たなる災難という手法が、巧いタイミングでループする。

そして根底にあるのは、ここでも潜水士と言う職業ゆえの迷いである。
自分の職業には迷いはないが、潜水士の自分が環菜と本当に結婚していいものなのか。
環菜はわざわざ自分で作ったウェディングドレスを持って鹿児島までやってくる。
しかし仙崎はその段階でも迷っており、しかも救助の時には環菜が「これだけはダメ(手放せない)」と言っているのに、冷静にそのドレスを手放すよう指示する。

そしてクライマックスで仙崎が環菜に愛を誓うのだが、これは同時に必ず生きて帰ると言う決意表明にもつながっている。
潜水士と言う仕事をしても必ず生きて戻る、これは環菜に対しての愛情表現だけではなく、仙崎が再度潜水士という仕事に対してさらに自信と誇りを持ち、自分を奮い立たせるシーンなのだ。
Wikipediaを見ると、アメリカでこの映画が公開された時に「あんな危機的状況下で長々とプロポーズするバカなどいない」と失笑した輩がいたらしいが、危機的状況でプロポーズするのはハリウッド映画の専売特許じゃないかと突っ込みたくもなる。
まあ、わびさびもわからないし、常に日本人を上から目線でしか見られない人たちに何を言っても無駄だろう。

仙崎が吉岡を指導できるまで成長しているのを見ると、TVシリーズの池澤の思いを知っているシリーズ全体のファンにとっては、ちょっと胸が熱くもなる。
沈没後すぐに救助に向かいたいと要求する現場の意思を汲み、上司を説得する下川もいいしね。

個人的にはスピード感があって、シリーズの中でも一番面白いと思う。


63.LIMIT OF LOVE 海猿(再)
by ksato1 | 2012-07-26 21:45 | 映画 | Comments(0)