「平清盛」はハンパなく面白い

ちょっと前にもつぶやいたが、先週の日曜日の「平清盛」の視聴率が10.2%だったそうだ。
これまでの大河の最低視聴率が、1994年放送の「花の乱」で10.1%。
なので最低視聴率にほぼ並んでしまった状態だ。

これには関係者もショックだったと思う。
題材が前半のハイライトの「保元の乱」で、このための特番まで組んでいた。
裏番組がバレーボールの「日本×セルビア」で、これが23.3%の視聴率だったために若干仕方ない部分もあるのかもしれない。
実際私も「清盛」は録画して、ライブではバレーボールを見ていたしね。
ただ、今週末はサッカーのW杯最終予選のオマーン戦があるので、状況的にはさらに厳しくなるだろう。
と言う事はひとケタ台突入で、最低視聴率記録更新もほぼ確定?

しかし視聴率は振るわないものの、ハッキリ言って今年の「平清盛」は、ここ数年の大河ドラマの中でも珠玉の出来である。
私が大河を見始めたのが2006年の「功名が辻」の途中から。
そこから全話欠かさず見ているが、ここ5年間の大河ドラマと比較して段違いに面白い。
ハッキリ言って「篤姫」よりも面白い。

じゃあなんでクソミソに言われるのかと言うと、たぶんクソミソに言っている人の9割くらいは、「清盛」を2、3回しか見てないんじゃないかと思う、しかも途中から。
さらに、歴史にあまり興味のない人も多いのではないか。

以前もちょっと日記に書いたが、今回の「清盛」は1、2回目に全体に影響する要素をかなりてんこ盛りに詰め込んでいる。
まず、伊東四朗の白河法皇が素晴らしかった。
そして三上博史の鳥羽上皇と檀れいの璋子、さらに中井貴一の忠盛が、全体の流れをうまく作った。

そもそも平安時代末期の動乱は、すべて白河法皇が原因と言っても過言ではない。
鳥羽上皇は白河法皇の孫で璋子は養子であった。
白河法皇は璋子を鳥羽上皇に輿入れさせるのだが、孫の嫁の璋子にも手を付けているのである。
その結果生まれたのが崇徳天皇だ。
そして璋子が絶世の美女であったがために、鳥羽上皇は嫉妬の炎を燃やし、崇徳天皇にツラく当たる。
でも璋子の事は憎む事ができずにいて、この倒錯ぶりを三上博史が見事に演じていた。

璋子の檀れいも、世間知らずながら自分が罪深い事をしていると言う、浮世離れした演技が素晴らしかった。
そして崇徳天皇は「オレが悪い事した訳じゃないのに、なぜこれほど恨まれなければならないんだ」と悲しみにくれるのだが、その憂いの演技を井浦新(ARATA)がまた見事に演じている。
動乱のきっかけとなる宮中のドロドロ愛憎劇の表現の仕方は、ズバリ言って完璧と言えるだろう。

一方、民衆が苦しい暮らしをしているのにこのような生活を送っている王家を、平忠盛はバカバカしく思って見ている。
父の正盛によって平家の地位は上がったが、武士はいつまでたっても王家の犬として軽んじられていた。
そこに、白河法皇の白拍子と彼女が生んだ子どもが忠盛の目の前に現れる。
忠盛は白河法皇に2人の処刑の回避を嘆願するも、武士のたわ言と聞き入れられずに女は目の前で処刑される。
忠盛は無力感にさいなまされるが、一族の棟梁として「王家の犬」の地位に甘んじなければならなかった。
だが、奇しくもご落胤として預かり育てた清盛が、王家を打倒し武士の世の中にすると大言壮語を繰り返す。
忠盛の弟である忠方は、平家の地位を脅かすとして清盛を嫌うが、忠盛自身は自分が成し遂げられなかった大仕事をやってのけるのではないかと考え、清盛に密かに期待をしている。

ちょっと長くなったが、1、2話でこのあたりが凝縮して語られている。
ここから、鳥羽上皇に同情してその子近衛天皇を産むものの、結局死ぬまで鳥羽上皇の心は自分ではなく璋子にあった事を知り嫉妬に狂う得子や、藤原摂関家内と源氏内の肉親の権力争いが展開していく。
また小さい部分でも、実の子ではない清盛と宗子の心のすれ違いなど、後々の史実につながる布石がかなり細かく演出されている。
今回の「保元の乱」でも、これまでずーっと根底に描いてきた清盛と忠方の関係を巧く使った演出がなされていた。
歴史好きなら大満足だと思うし、実際私の周りでも評価する人が多く、「面白くない」と言っている人にいまだリアルで会った事がない。

結局、兵庫県知事が「画面が汚い」と言った事で、ほとんどドラマを見てないのにブログやツイッターで「清盛ダメじゃん」と書く人が増えたんじゃないかと思う。
だって実際面白いし、きちんと歴史を理解している人なら絶対満足するだろうし。
まあ最近のネットの風潮は、人の意見をあたかも自分の意見のようにそのまま垂れ流す人が多いから仕方ないのかもしれないけど。

ただ、たしかにわかりづらい部分も多いと思う。
誰かがどこかで言っていたが、この時代の主要キャラはみんな「平●●」「源●●」「藤原●●」で、しかも親子兄弟で似た名前だからメチャメチャ区別が付きづらい。
しかも、権力があっちに行ったりこっちに行ったりして、今誰が強い力を持っているのかも非常に分かりづらい。
見るのには相当な集中力が必要である。
「大河ドラマは気軽に見られるものでなければダメだ」と言う話もわかるので、題材として「平清盛」にすべきではなかった、という意見なら私も理解できる。
「こういう時代だから、もっと希望に満ちた話にすればよかったのに」と言う人もいて、実際来年の「八重の桜」はそういう話になるようだ。

ちなみに大河ドラマは、2010年の「龍馬伝」からプログレッシブカメラで撮影を行っているが、その時から空気中にコーンスターチで塵を作って当時の質感を再現している。
「龍馬伝」の時は逆に、「幕末ってこれくらい埃っぽかったんだよね」と称賛されていたと思うが、なんで兵庫県知事は「画面が汚い」なんて言っちゃったんだろうね。
たぶん、大河ドラマを見たのは久しぶりでビックリしちゃったんだろうね。

それと、誰が誰やらわかりづらい事については、私も清盛の兄弟と子どもは特にわかりづらいと思う。
一応頼盛はAAAの西島隆弘を使っているけど、それ以外も神木隆之介とか柳楽優弥とか加藤清史郎とか鈴木福とか、有名どころをバンバン使っちゃえばよかったのにね。
そしたら区別が付きやすかったのに。
場合によっては、AKBのメンバーに男装させても良かったかも。
それはさすがにやり過ぎか(^_^;;

でも、個人的には今後の展開も非常に楽しみ。
松山ケンイチの清盛が、これからだんだん青臭さが抜けて清盛らしくなっていくと思うしね。
マジで、「平清盛」はハンパなく面白いと思う。

【追記】
その後の日記はこちら

●「平清盛」がいよいよ面白くなってきた
http://ksato.exblog.jp/15775265/


●「平清盛」クライマックス間近
http://ksato.exblog.jp/16710951/


●「平清盛」終了
http://ksato.exblog.jp/17043354/



※こんな本書いてみました。
よろしかったらご購読ください


●放射能ヒステリックビジネス

http://www.amazon.co.jp/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-ebook/dp/B00DFZ4IR8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1371517543&sr=8-1&keywords=%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF
[PR]
by ksato1 | 2012-05-31 00:05 | 日記 | Comments(9)
Commented by 奈緒子 at 2012-05-31 05:47 x
まったく同感です!
最近ますます面白くなってきたと思います!
Commented by ksato1 at 2012-05-31 07:33
>奈緒子さん

コメントどうもありがとうございます。

もうちょっと人物の相関関係がわかりやすかったら、評価は180度変わってたんじゃないかと思います。
そういう意味では、最初から画面上で人物相関図を多用するなどの努力が必要だったのかもしれませんね。
NHKのミスはその部分かと思います。

出演者はみんな熱演してますし、特に青臭い事ばかり言ってるけどなぜかみんなを惹きつけてしまう清盛は、松山ケンイチがハマり役だったんじゃないかと思います。
今後が本当に楽しみです!
Commented by みきま at 2012-08-06 20:58 x
私も平清盛はこれまでになくおもしろいと思います。
皇家と藤原・平・源の限られながらも複雑に絡み合う登場人物たちをうまく俳優を配置して歴史を追っていますよね。
ただ時代背景が一般的になじみのない頃なので浸透しにくかったのかもしれませんね。
竜馬伝はなど数百年前のことではまだ記憶に覚えた歴史が残っているのでドラマに集中しやすいでしょうし・・・。
ついに一桁代もったいないと思います。
Commented by ksato1 at 2012-08-07 10:05
>みきまさん

コメント誠にありがとうございます。

題材的にちょっと専門性が高いので、やはり歴史に興味がある人とない人で評価が大きく分かれてしまっているのかと思います。

ご指摘通り、3月くらいまでは毎週オープニングタイトルの前に人物相関図の説明をしつこいくらいに繰り返したり、あるいは人物が最初に登場するときは字幕で誰なのかをしっかり表記するなどの解説が必要でしたね。

そして本当に、松山ケンイチの清盛がハマり役だと思います。
これまで散々青臭い事を言って周囲を振りまわしていましたが、この後は一族の思いを背負って平氏の発展に寄与して行くのだと思います。

私も8/5は女子マラソンを見てしまって、清盛は録画で見ましたが、意外とそういう人が多くて、オリンピックの後はまた視聴率回復するんじゃないかな、という気もしてます。
Commented by マキ at 2012-09-07 05:12 x
はじめまして。本当、同感です!
平清盛はここ数年の大河の中でも、特に面白いじゃないの!!!と声を大にして言いたいです!(笑)
よくやる時代(戦国・江戸時代、幕末等)の大河も見飽きてしまった感があったのですが、平安時代~鎌倉時代というあまり取り上げられる機会が少ない時代なので、見ていていつも「へえー」と感心しながら見ています。
私は神奈川の人間なので、鎌倉時代の事に関しては小学生ぐらいから馴染みが有り、やはり源氏に対しては正義、「平氏」に対しては悪者!という印象をずっと持って育ってきました。
ですがこの大河のおかげ?で平氏に対する印象は180度変わりました(笑)。
松ケンの清盛もどんどん渋みを増してきてるし、ハマってますよね。
あと私も凄く思うのが、配役のわかりにくさですかね。
特に清盛の兄弟と子供たちの区別がつかない事がよくあります。
最近の若手のイケメン俳優さんなどをキャスティングするのはいいんですが、やはりまだまだ認知度が無いというか・・・
「これって清盛の兄弟だっけ?息子だっけ?」と、よく頭がこんがらがります。ドラマ内の扮装では、見た感じみんな同じ位な年齢に見えてしまうんですよね。
Commented by ksato1 at 2012-09-07 11:34
>マキさん

コメントどうもありがとうございます。

私はここのところの、週に一度の楽しみが「清盛」という感じになってきました。

わかりづらさを解消するためか、9/2の放送は清盛の生い立ちを振り返るような構成になってましたが、またそれもいいでしょう。
ただこの後、明子(加藤あい)の子である嫡男の重盛が没し、それが平家の衰退にも繋がるので、明子のエピソードも欲しかったなと思いました。

いずれにしろ、今は毎回名前と清盛との関係が表示されるものの、やはり誰が誰やらわかりづらいと言うのはいまだに否めません。
すでに配役をきめてしまっているので、「わかりづらい」という声があっても変更する事はむずかしいとは思いますが、正直その点が「清盛」の唯一にして最大の欠点だと思います。

>見た感じみんな同じ位な年齢に見えてしまうんですよね。

ご指摘の通りです。
叔父の時忠(森田剛)も、清盛の子どもたちとあまり変わりなく見えてしまいます。
それと松ケン自身も肌ツヤがよくて、子どもたちとあまり年が離れて見えないですよね。
さらにわかりやすくするためには、もうちょっと松ケンのメイクを老けさせた方がいいかな、という気もします。
Commented by 通りすがり at 2012-12-10 13:13 x
あまりの評価の低さにかえって気になって
NHKオンデマンドで1,2回見ましたけど、
滅茶苦茶面白いじゃないですか!
特に伊藤四郎極悪すぎ。w

何でこんなに酷評されてるんでしょうね。
まだ全然見てませんが、少なくとも
出だしは素晴らしいですよ。
僕はドラマ嫌いなんですけど、その僕を
ひきつけてるんだから大したもんです。
Commented by 通りすがり at 2012-12-10 13:17 x
NHKオンデマンドは1月3日に配信終了しちゃうんです。
急いで見なければ(笑
Commented by ksato1 at 2012-12-11 10:02
>通りすがりさん

コメントどうもありがとうございます。

今回の「清盛」に関しては一言、「複雑すぎた」だと思います。

歴史に興味のある人がきちんと見ればメチャメチャ面白いのですが、人物関係が複雑するぎるので、「今年は大河でも見てみるかー」と気楽にチャンネルを合わせた人にとっては、「よくわかんなくて、面白くねー」という感想になるんだと思います。

「画面が汚い」というのは、自分が内容を理解できない事を認めたくない人の、単なる言い訳でしかないでしょう。

TV番組においては、放送当時視聴率がふるわなくても、後から内容が再評価されるものはいくらでもあります。
たぶん「平清盛」もその一つになると思います。

配信終了までに頑張って見てください(^_^;;