「戦火の馬」

スピルバーグの感動作品と言う事でやや期待して観に行ったが、正直今ひとつだった。
理由は、誰目線で描かれているのかがよくわからず、感情移入ができなかったからだ。

農耕馬として大切に育てられていたサラブレッドのジョーイは、戦馬となり第一次世界大戦の戦場に赴く事になる。
飼い主のアルバートは愛馬を探すために、年を偽って入隊しこれまた戦地に赴く。
この一人と一頭が数奇な運命を経て再開する感動のストーリーなのだが、冒頭に書いたように誰が主人公なのかよくわからないまま物語が進んでしまう。
ジョーイがさまざまなエピソードに遭遇するのだが、そのエピソードがジョーイの目線で語られている訳ではない。
だからどのエピソードも唐突感がある。
ドイツ兵の兄弟、フランス人の祖父と少女など、戦争の悲惨さを表現したエピソードが並ぶのだが、どれもジョーイは脇役だ。
ジョーイに乗って脱出するが命を救われる訳ではないし、ジョーイを手なづけようとするが心を通わせる訳でもない。。
じゃあジョーイは常に脇役なのかと言うと、途中で同僚の馬をかばうシーンもあるし、勇ましく戦場を駆け抜けたりもする。

さらに日本人にわかりづらいのは、今ジョーイがどこにいてアルバートとの距離がどれくらいなのか、と言う事。
ヘルメットの形や人物の名前でイギリス軍とドイツ軍の区別がなんとか付くが、国旗も映らないしどちらも普通に英語で会話をしているので、「ジョーイはまだドイツ軍にいるんだよね?」と言う感じになってしまう。
アルバートは最前線にいて、ジョーイの軍隊もかなり前線に近いと思うのだが、その距離が馬が走って何時間くらいなのかわからないし、そもそも同じ前線なのかもわからない。
そして、ジョーイとアルバートの距離が近くなったぞ的な盛り上げ演出がないまま急に再開するので、かなり拍子抜けしてしまう。
まあ元々が児童文学らしいので、そういう大人向けの演出はないのかもしれないけど。
2時間半の上映時間でこの「唐突の連続」展開は、正直ちょっと厳しい。
唯一、フランス人少女とのエピソードが布石となっているシーンだけちょっと感動はしたが、後はあまり感動できなかった。

映像は美しいし、戦闘シーンも激しい。
何よりジョーイの演技が「これどうやって撮ったの?」と思えるほど素晴らしい。
だから素直に感動する人も多いと思うけど、個人的にはちょっと残念な作品だったかな。


28.戦火の馬
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by ksato1 | 2012-03-28 22:41 | 映画 | Comments(0)