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東大の秋入学

日本は4月始まりの3月終わりが会計年度だから、学校も4月始まりで3月終わりとなっている。
これがどのタイミングからなされたものかはわからないが、少なくとも明治以降に学校制度が作られて以降だろう。
寺子屋とか剣術道場で入学式とか卒業式があったって話、聞いたことないからね。

そして東大が、その4月-3月の年度を崩そうとしているとの事。

【<東大>秋入学に移行へ 「国際化」加速求める中間報告】
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20120118/Mainichi_20120118k0000e040151000c.html


日本のアカデミーの仕組みおよび学校制度は、良くも悪くも東大を頂点にして作られているので、まず東大から始めると言うのは至極当たり前の話だ。

で、その影響を考えると・・・。
メリットの方がかなり多そうである。

そもそもが、外国人留学生受け入れのために秋入学にしようという発想だったようだが、むしろ国内においてのメリットの方が多いのではないかと思う。
まず、現在の受験制度だ。
この東大の案では、入試は春に実施して、秋の入学までは人生経験を積むように、との事。
これはこれで、なかなかいい考えである。
入試が終わって高校を卒業して大学に入るまでに、もう一度自分の現在と未来について考える時間があるのは、非常にいい事だと思う。
これは日本のすべての大学生に対して言える事ではないか。
入試が終わって半年間遊び過ぎて、結局大学に通わない人間もかなり出るだろう。
また遊びじゃなくても、ボランティアに力を入れているうちに、大学に行くよりも他に自分のやりたい事を見つけられるかもしれない。
それはそれで、すべてその人の人生なのだ。
日本の場合、高校生という枠組みではいろいろと縛りが多いので、卒業してからわかる事の方が多いに決まっている。
だから東大以外の大学もすべて、秋入学にすればいいと思う。

そしてさらに言えば、入試自体を2回体制にすればいいのではないかとも思う。
春の入試で落ちても、秋入学のための入試を7月くらいに設定すればいいと思う。
要するに、2次募集を夏に行うってことだね。
そうなると浪人生は1年中受験に追いまわされる、ってな事を言う人も出そうだが、1年に1回の一発勝負で人生を決めるよりよっぽどいい。
むしろ年に何回かチャンスがあると言う事で、受験生に精神的な余裕が出そうな気もする。

それをさらに突き詰めて考えると、受験は春、秋2回、合格1年以内であれば、春、秋どちらに入学しても可、というのもアリだと思う。
修学年数は4年で、卒業も年に2回だ。
現在の多様性を考えれば、入学と卒業の時期を画一化する必要もないのではないかと思う。

そうなると考えなければならないのが、卒業後の就職である。
しかしこれに関しても、すでに現在新卒の4月採用は大きく崩れ始めている。
本来は企業だって、年度の上期の決算が終わり、ある程度決算見込みが立たなければ採用人数を決める事はできないはずだ。
それを質量ともに相当数採用しなければならない大手が青田買いをはじめ、中小企業もそれに負けじと採用を早めるから、内定切りなんて事態が起こったりするのだ。
だから企業もそれぞれ、きちんと決算の見通しが立ってから採用をすればいいと思う。
学生の卒業時期が分散すれば「今じゃなきゃ優秀な人材は確保できない!」なんて話もなくなる。
会計年度が4月-3月じゃない企業も増えているしね。

唯一それで難儀するのは、引き続き会計年度に縛られる公務員の採用だろう。
ただそれすらも、研修期間で調整して配属だけ合わせればなんとかなるんじゃないだろうか。
公務員の中でも教員が一番問題になりそうだが、そもそも大学卒業していきなり先生っていう現在の教員採用の仕組みが、かなり無理がある。
だって1か月前には自分がカネ払って教えてもらっていた人が、翌月にはもう税金から給料もらって現場で人に教えてるんだよ。
1種免許取ってすぐ、タクシーやバスの運転手やっているようなものだからね。
冷静に考えれば、そんなのあり得ないでしょう。
なのでむしろ、研修期間を入れるべきなのである。

公務員や大手企業では同期入社間の出世競争が激しいらしいが、採用時期が変わって入社年次の概念が少なくなれば、年次に関係なく優秀な人材が活用されやすくなるような気もするしね。
逆に遅咲きの出世コース、なんて言うのもできるかもしれない。

やや脱線してしまったが、要するに就職という面から見ても、入学と卒業を画一化しない方がいいという話だ。

ただ、相変わらず地域間格差というのは存在するだろう。
大都市に住んでいると受験もしやすいが、地方の学生は受験のために何度も上京すると言うのは負担が大きい。
また、大都市ならアルバイトもボランティアも多いので、入学までの期間を有効に使えるチャンスも多いが、地方だとそうも行かずに結局入学までぼーっとしてました、になる可能性もある。
実際は地方でもそんな事はないかもしれないが、そう主張をする人は必ず出てくるだろう。

それでも、そんなに大きな問題にはならないと思うので、入学、卒業の多様化は是非進めてほしい。
後世の人材を育ているという意味では、かなりいい話だと思うだけどね。
by ksato1 | 2012-01-18 20:33 | 日記 | Comments(0)