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「ソーシャル・ネットワーク」

世界最大のSNS「フェイスブック」をモチーフにした、フィクションである。
そう、あくまでフィクションなのだ。
この映画が評価されるのは、おそらくその部分なのだろう。

ストーリーを単純化すると、大学で仲良かった二人が大きな事を始める、しかしだんだんと二人の見ている世界に少しずつズレが生じ、そこに引っ掻き回す人間が介入して二人は完全に決別する、である。
考え方の違いを修正する事ができず、溝が深くなる事によってさらにいらだつ二人。
若い頃にありがちな話を、「フェイスブック」の成り立ちと訴訟問題にうまく当てはめて映画にしている。
だが、実際にこのような展開で話が進んだのかどうかはわからないし、一般に伝わっている関係者の発言によると、やはりフィクションの部分が多いようである。

映画としての感想を書くと、個人的にはちょっとなじみにくいかな、と思った。
アメリカ在住の友人かもきち。さんから「日本人にはわかりにくい部分が多い」と聞いていたのだが、大学生活などちょっとと言うか、かなりわかりづらい部分が多かった。
そんな状況なのに、冒頭部で突然話が現在の訴訟に飛ぶ。
しかも2つの訴訟が平行している。
ザッカーバーグをはじめ、関連する人物の見た目が学生時代とあまり変わらないため(時間もあまり経っていないので仕方ないかもしれないが)、今、目の前で映っているシーンがいつの話なのか混乱してしまう。
1/3くらいまで見てやっと、学生時代と訴訟が交互に展開している事が理解できる。

そもそも「フェイスブック」がどうしてそんなに大きくなったのかも、日本人にはちょっと理解しづらい話ではないか。
まず、アメリカにおいてハーバード大学がとても凄い大学だという事が、わかりづらい。
日本の東大は勉強ができれば誰でも入学できる。
身分などの差別はそこにはない。
しかしアメリカの大学は、やはりいろいろとお家柄などによって入れる大学、所属できるサークルが違ってくるようだ(寮も?)。
ザッカーバーグが、「フェニックス」というサークルに入ったエドゥアルドに嫉妬するというのも、理屈としてはわかるがどれだけザッカーバーグが強く嫉妬したのかは、やっぱりちょっとわかりづらい。
ウィンクルボス兄弟が考えた「ハーバード・コネクション」と言うのも、ハーバード大の優位性から発想されているようだし、「フェイスブック」が急速に広まったのも、立ち上げ当初に所属していた大学が「いいとこのご子息」が入る優秀な大学が多かった事による、プレミア感だったのではないだろうか。
日本も戦前はそういう風潮があったと思うのだが、戦後ルーズベルトとその側近が「世界一過激な民主主義」を導入した事により、日本の大学は頭さえよければ誰でも入れるし、入学した後は誰でも平等、格差のない場所になった。
日本で「フェイスブック」が広まらない理由は、そういう部分もあるのかもしれない。
まあそれ以前に、2ちゃんが大きくなりすぎて「ネット=匿名」の文化が定着しているからかもしれないけど。

いずれにしろ、ザッカーバーグの心境の変化をはじめ、日本人にはわかりづらい部分が多い映画だ。
さらに前述したとおり冒頭の展開がわかりづらく、さらにザッカーバーグが早口でまくし立てるので、集中していないと展開についていけなくなる。

クライマックスが近づくにつれ、エドゥアルドとザッカーバーグがお互いに激しく謗りあうようになる。
このあたりの展開、演技が巧いので、ラストは「なるほど」と納得し、いろいろと考えさせられてしまう。
悪くない映画ではあるが、やっぱり評価が分かれる映画ではあるかな。
わたしみたいに英語が得意ではないという人間は、吹き替えで見た方がよかったのかもしれない。


24.ソーシャル・ネットワーク
by ksato1 | 2011-02-11 19:13 | 映画 | Comments(0)