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「死刑台のエレベーター」

1958年制作のオリジナル版の方は観ていない。
観ていなくても楽しめるか、と思ったが、それ以前にどうにもこうにも・・・。
想像の域を超えないが、やはり50年以上前の作品をそのままリメイクするには無理があったか。

調べてみると、かなりオリジナル作品に忠実に作られているらしい。
だがそれゆえ、無理な設定がかなりあった。

まず、基本となるエレベータに閉じ込められるという設定。
ビルは終戦直後に建てられたと思われる趣のあるビルで、エレベータもそれっぽくていい。
近いのは昔の丸ビルかな。
携帯電話を置き忘れて連絡が取れないというのもいいだろう。

ただ、スイッチ一つでビルの電源が全部切れてしまうという設定は、21世紀の日本ではいくらなんでも無茶だ。そしていまどき警備システムを導入していないなんて考えられないし、そもそも休日にビルの電源を全部切る会社なんてまずない。
しかも警備員の笹野高史は、すべてのフロアを巡回せずにいきなり主電源をブッツリ切った。
万一トイレの個室に社員が残っていたりしたら、エラい事になるぞ。
さらにエレベータに緊急通報設備がついてない。
これはおそらく法律的に問題があるだろう。
まあ、映画なので法律部分に目をつぶったとしても、笹野高史の警備はいくらなんでもズサン。
しかも笹野高史にややコミカルな演技をさせているだけに、なんだかここだけコメディ映画みたいになってしまった。
オリジナル作品の警備員もこんなだったのかな。

そして芽衣子だ。
いや芽衣子とか吉瀬美智子が悪い訳ではない。
現れない時籐を探すために芽衣子は夜の街を彷徨うのだが、これが横浜だとまったく画にならない。
オリジナルではこの部分はパリの街だと思うので、たぶんそこは画になったのだと思うが、横浜だと生活感が生々しくてなんとも締まらない感じだ。

玉鉄の赤城もなんだかなぁ、という感じ。
まず序盤でチンピラにキレるというのが意味不明。
さらに昔の恋人を見つけたからと言って、ここまで破滅的な行動を取るかな、とも思う。
調べてみたら、オリジナルはこの役どころが警官じゃなかったみたいだね。
「銃を持つ」という設定のために、警官にしたみたい。
いやー、それは失敗でしょ、いくらなんでも。

時籐=阿部寛、芽衣子=吉瀬美智子と言うのもよくなかったかも。
もうちょっとクセのある人たちにして、ダメな部分を生々しくした方がよかったんじゃないかな。
優等生的な二人がドジな人間を演じても、違和感が強くてあんまり感情移入できないんだよね。

オリジナルに忠実にしすぎたために、突っ込みどころ満載な映画になってしまったのかな。
たとえば、舞台をとんでもない田舎町にしていたら、もっと面白い展開にできたかもしれない。


84.死刑台のエレベーター


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by ksato1 | 2010-10-29 00:39 | 映画 | Comments(0)