「借りぐらしのアリエッティ」
監督はジブリ最年少監督となる米林宏昌だ。
だが、宮崎駿が企画脚本を担当しているだけあって、かなり面白かった。
少なくとも「ゲド戦記」よりは全然面白いと思ったよ、個人的には、ハッキリ言って申し訳ないけど。
原作はメアリー・ノートンの「床下の小人たち」。
作品はシリーズとなっており、基本的には児童文学である。
だが、そのファンタジックな世界を見事にアニメ化している。
「ポニョ」も悪くはなかったが、派手な色遣いと奇想天外なストーリーに、正直やや面食らった。
今回は児童文学であるが、「ポニョ」よりも対象年齢はやや上となるだろう。
14歳のアリエッティの微妙な心の揺れ方がストーリーの軸である。
だからおそらく、10代が共感を持ってみられる作品ではないだろうか。
初めての「借り」に胸ときめかせたり、初めて同年代の人間を見てビックリしたり、初めて自分の家族以外の小人に遭遇したり。
両親と床の下で生活していたアリエッティにとって、何から何まで初めてづくしの事が訪れる。
そして彼女の軽率な行動から、家族は住み慣れた家を離れなければならなくなってしまう。
10代特有の根拠のない自信、そしてアリエッティの高揚と落胆、勇気がよく描かれている。
また、病気療養に来た翔が、コントラストとも言うべきいい役どころになっている。
大きな出術を目前にした翔は、10代とは思えない達観したものの考え方をする。
アリエッティはその翔の考え方を真っ向から否定するのだが、その言葉によりお互いを理解しはじめる。
アリエッティたちが住む家にはとてもとても綺麗な庭園があり、見ている者の心を和ませてくれる。
「ポニョ」とはちょっと違った、心地よい色遣いだ。
「boy meets girl」の要素もあり、90分間でキッチリまとめ上げられている。
人によって評価は分かれるかもしれないが、個人的にはとてもいい作品だと思う。
どうでもいいけど、「アリエッティ」の主題歌を鼻歌で歌っていると、いつの間にか「カリオストロの城」の「炎の宝物」になっちゃうんだよね・・・。
51.借りぐらしのアリエッティ
すごく時間があいてしまいましたが、映画は気紛れで見るので、特に好きな傾向というのは思い浮かびません。強いていうのなら、ジブリです。
先日、借りぐらしのアリエッティを観賞したのですが、個人的にずばり大ヒットでした。
2度もみたのですが、一度目は、直前にジブリ嫌いの人たちのコメントをいくつか読んでしまい、「そんなことない」と思い、肩肘はって見てしまい、素直に楽しめなかったからです。
今まで通り、ジブリ批判する人にはわからないかなと思いはしましたが、元気に動き回る少女や翔との交流がとても素敵だったと思います。
確かに明確な解決やシナリオはないかもしれないけど、それ以外に感じることがとても多いです。
ドラマや小説の絵、アニメづくりでも、とてもデフォルメされたものが増えて、枝葉の部分はさらに片隅においやられ、重要と思われる部分ばかりが前に出てきてるように思えます。
そういったものばかりに目を向ける人たちや、情報社会のもとに育つ子供達に対し、ジブリは一貫して「冒険しようよ」と語りかけてるのではないかと思いました。
コメントありがとうございます。
最近のジブリ作品は過度に期待され過ぎてしまい、何かメッセージ性がないと「ダメ」の烙印が押されてしまう傾向にあるかと思います。
でもアニメって、理屈抜きに観終わって「面白かった」と思えればそれでいいのではないかと思います。
宮崎駿はかつて、「アニメは子どものもの。子どもが楽しめないアニメは大人も楽しめない」と公言していました。
前作「ポニョ」もそうでしたが、子どもが観て単純に楽しめる作品は、それはそれで完成度が高いのでははないかと思います。
そして「アリエッティ」を観終わった後のなんとも言えない爽快感は、やはりこの作品の完成度が高いことを証明しているのだとも思います。