「第9地区」
一言で言うと、惜しい!
脚本はもうちょっとなんとかならなかったのか?
20年前、南アのヨハネスブルグ上空に巨大宇宙船が飛来する。
中には飢えた大量の宇宙人がいた。
とりあえず彼らを地上に降ろし、住まわせたのが「第9地区」である。
20年の間に第9地区はスラム化し、付近住民の宇宙人に対するストレスは臨界点に達していた。
超国家機関のMNUは、郊外に「第10地区」を設立し、宇宙人をそこに強制移住させようとする。
その責任者に任命されたのがヴィカスである。
そして移住作業中にヴィカスは謎の液体を顔に浴びてしまい、そこから彼の体は変異を始める。
物語の序盤は、インタビュー形式でドキュメンタリーのように進行する。
そしてポイント、ポイントで、進行時間のテロップが入る。
このあたりの手法は巧い。
ヴィカスに異変が出るころから物語は一気に加速し、スピード感が増す。
宇宙人の動きも悪くなく、アクションシーンも迫力満点、アカデミー賞ノミネートというのもうなづける。
ただし。
全体のストーリーの整合性がメチャメチャ。
エイリアンの武器がとんでもなく強力だったり、MNUに簡単にしのびこめて、簡単に出てこられちゃうあたりはまだ御愛嬌。
一番肝心な、ヴィカスの浴びた液体の意味が最後までよくわからない。
なんでその液体を浴びると体に変異が起こるの?
そして、エイリアンの中にいるクリストファー。
彼ほどの能力がありながら、本当に20年間ただ液体を集めるだけしか努力をしなかったのか。
そういう肝心なところがかなり端折られているので、観ている途中でなにやらモヤモヤとしたものが湧いてくる。
それと、エイリアンの武器で人間がはじけ飛ぶシーンも、ちょっと過激すぎるかな。
そういう部分も含めてB級映画の域を出られないんだろうけど、アクションやSFXだけ見れば十分見応えのある作品だった。
31.第9地区