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「ハート・ロッカー」

これが現代の代表的な戦争映画と言えるのかもしれない。

「コンバット」のように小隊同士が山間部で衝突して銃撃戦が始まり、「リトルジョン、左翼に回って援護しろ!」という戦争は、今や行われていないのだろう。
また「トップガン」のように、国籍不明の戦闘機が領空侵犯してくる、と言う事も少ないのではないか。
米中の緊張が高まるとともに、台湾海峡がくすぶり始めたら、またそういう事も増えるのかもしれないけど。

常にどこかの誰かと戦争をしているアメリカだが、現在はイスラムゲリラとの戦いが多いのだろう。
イスラムゲリラの主な戦術は爆弾テロなので、この映画のように爆発物処理班が重要な役割をしているのかもしれない。
推論ばかりだが、あながち間違ってないんじゃないかな。

映画はいきなりサードギアくらいから始まる。
ブラボー中隊は任務終了間近だが、爆発物処理班のトンプソン軍曹がテロの犠牲になってしまう。
代わりに配属されたジェームス軍曹が、この物語の主人公だ。

ストーリーの1/3くらいは、常に爆発物を処理する緊張のシーンだ。
専門的な知識がなくとも登場人物たちのセリフや状況描写で、なんとなく「かなりヤバそうだ」という雰囲気がスクリーンからビンビン伝わってくる。
このあたりがこの映画の評価されている部分であろう。
そして任務終了後のベース内でのシーン。
常に死と隣り合わせにいる隊員たちの、感情のぶつけあいが生々しい。
クライマックスに向けどんどんボルテージがあがるという作りではなく、常に一定の緊張感が持続する。

徴兵制のない国に生まれているので、家族を残して戦地に赴くと言う心境を、リアルに感じる事はできない。
それでも、彼らがどういう想い出戦場へと旅立っているのか、なんとなくではあるが伝わってくる作品だ。
アメリカ人が観たら、それはかなり共感するのだろう。
アカデミー賞作品賞受賞も納得である。

28.ハート・ロッカー



by ksato1 | 2010-04-13 11:54 | 映画 | Comments(0)