「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ第3部、「ダイヤモンドは砕けない」編の実写映画である。
映画用に細かい部分の変更はなされているようだが、大枠では原作通りのストーリーとなっていた。

広瀬康一(神木隆之介)はM県S市の森王町に引っ越し、ぶどうヶ丘高校に転校をしていた。
ある朝不良に絡まれているところに同級生の東方仗助(山﨑賢人)が現れ、不思議な力で不良を倒してくれた。
仗助は男気があり後輩の女子からもモテるのだが、髪型を馬鹿にされた時だけ手がつけられないほどキレてしまう。

仗助は母の朋子(観月ありさ)、祖父の良平(國村隼)と暮らしていた。
良平は実直な警察官で、常に森王町の平穏を願っていた。
しかしある日、良平が目を掛けていたかつての不良がコンビニ強盗を起こしてしまう。
偶然現場に居合わせた仗助は彼のスタンド「クレージー・ダイヤモンド」で応戦するが、強盗はクレージー・ダイヤモンドの攻撃とは無関係に死亡してしまった。
強盗は、連続殺人犯でかつ脱獄犯の片桐安十郎(山田孝之)、通称アンジェロのスタンドに取り憑かれていたのだ。
仗助に強盗を邪魔されたアンジェロは、仗助に復讐しようと近づく。
その結果、祖父の良平が殺されてしまった。

仗助はアンジェロのスタンドを見て、空条承太郎(伊勢谷友介)に連絡を入れた。
承太郎は年上ながら仗助の甥にあたり、年老いた承太郎の祖父の子どもである仗助に会いに来ていたのだ。
二人は協力してアンジェロを撃退、その時になぜスタンドになったかを聞き出した。
アンジェロによると、ある夜に矢で射ぬかれてからスタンドの能力が発動したと言う。
仗助は良平の葬儀に居合わせた男が怪しいと思い、彼の後を康一とともに追った。

原作ファンなら、かなり納得の出来である。
タイトルに「第一章」と銘打たれているので、この後は岸辺露伴たちが登場し、吉良吉影との戦いになるのだろう。
ちなみに第一章までで登場している主要キャストは、虹村形兆(岡田将生)、虹村億泰(新田真剣佑)の虹村兄弟と山岸由花子(小松菜奈)である。
少々ネタバレになってしまうが、この作品では山岸由花子のスタンドは登場しない。
原作ではこの後のストーリーに音石明、重ちー、ジョセフ・ジョースターなどが登場するが、シリーズ全体が何作になるかによって、これらの主要キャストも登場しない可能性もある。
宇宙人と名乗っていた支倉未起隆や鉄塔の男などもなかなかいいキャラであるが、おそらく登場はしないだろう。
杉本鈴美に関しては、良平がスクラップしていた事件記事中に記載があったので、VS吉良吉影編を中心にもう1~2作品制作する予定と思われる。

クレージー・ダイヤモンドをはじめ、スタンドのCGとそのバトルは原作のイメージを損なわない出来であった。
唯一、形兆のスタンド「バッド・カンパニー」だけが、実際の兵器や兵士のミニチュア版ではなく、プラモデルのように見えてしまっていたが、難点と言えばそれくらいだろう。
外れも少なくない三池作品だが、この作品に関して言えば世界観が三池色にマッチしている。
ただし、原作に興味がない人にはちんぷんかんぷんな作品に見えるかもしれない。

岸辺露伴、吉良吉影に誰がキャスティングされるかも含めて、次回作が楽しみである。



96.ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章



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スパイダーマンは過去2度実写映画でシリーズ化され、ゴブリン、ドクター・オクトパス、サンドマンなど原作に登場したヴィランが敵役であった。
しかし今回のスパイダーマンは、完全にアヴェンジャーズの一員として描かれており、原作とは異なるストーリーで展開されている。

N.Y.でアヴェンジャーズとチタウリが戦った(「アヴェンジャーズ」)後、エイドリアン(マイケル・キートン)は後片付けの解体工事を請け負っていた。
新たにトラックを購入するなど張り切っていたエイドリアンだが、政府とスターク社が作った合弁会社ダメージコントロールに仕事を奪われてしまう。
エイドリアンは仕方なく、チタウリが残した物質を利用して強力な武器を開発、それを売りさばいて巨額の富を得る事となった。

時代は流れて8年後、トニー・スターク( ロバート・ダウニー・Jr)はN.Y.で見つけた新たな戦力スパイダーマンをアベンジャーズに召集、国連管理下に置かれる事が発端でアヴェンジャーズ同士の仲間割れとなった戦いに(「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ})、スパイダーマンも参戦させた。
その後トニーは、スパイダーマンであるピーター・パーカー(トム・ホランド)のお目付役を、運転手であったハッピー(ジョン・ファヴロー)に任せる。
ピーターはまだ15歳で若く、アベンジャーズに正式に加盟させるのは時期尚早と考えたからだ。
トニーから命を受けたハッピーはピーターが無茶しないように見張るのだが、アベンジャーズに選ばれたピーターは張り切って街の治安を護ろうとする。
そして功績を認めてもらおうと、逐一ハッピーに報告した。

そんな時、ピーターは街のATMを襲う強盗と遭遇する。
彼らはこれまでに見た事のない破壊力の武器を所有しており、ピーターが仲良くしていたサンドイッチ店があっという間に破壊されてしまった。
武器はエイドリアンが開発した物であった。
その翌日、ピーターは親友のネッドとともに、リズのホームパーティに参加していた。
リズは1歳年上の先輩で、学力コンテスト部の部長をしており、ピーターはリズに想いを寄せていた。
そのホームパーティ中にピーターは、前日見た武器の光と同じ光を目撃する。
現場に駆け付けると、エイドリアンの部下の武器商人が武器を売買していた。
売買を中止させたピーターは、武器から落ちたチタウリの物質を拾う。
ネッドとともに物質の解析をするが、何が武器となっているのかはわからなかった。

その後ピーターは、リズたちと一緒に全米学力コンテストに出場する。
ピーターは学力優秀で、学力コンテスト出場の有力メンバーとして期待されていた。
ただ、ピーターの本当の目的は、武器商人たちの後を追う事だった。
武器商人たちが、学力コンテスト決勝戦が行われるワシントンDCにいる事を付きとめていたのだ。
コンテストの決勝前夜、ピーターは仲間と離れて武器商人たちを追いかける。
武器商人たちはダメージコントロール社のトラックを狙っていた。
ピーターは武器商人の襲撃を防御するが、その勢いでトラックの中に閉じ込められてしまう。
倉庫まで連れて行かれたピーターは、翌朝まで倉庫内に拘束されてしまった。
その間仲間たちは、見事学力コンテストで優勝していた。
そしてご褒美に、ワシントン記念塔を登る事になる。
だが記念塔に入場する際、ネッドが持っていたチタウリの物質がX線検査機に反応、周りのものを破壊し始めた。
塔を登るエレベータは途中で停止、ピーターがスパイダーマンとして駆け付けた時には、エレベータは搭乗者ごと落下する寸前であった。

ここまでで、ストーリーの半分強くらいである。
この後もピーターはトニーとハッピーの制止を聞かずに武器商人たちを追いかけ、予告編やTVCMで流れるフェリー真っ二つのシーンなどが展開する。
起承転結がわかりやすく、スピーディーでアクションシーンも迫力がある。
スパイダーマンも高い建物がないと歩いて移動するしかないなど、ところどころに散りばめられたお笑いシーンも日本人にもわかりやすかった。

個人的にはこれまでスパイダーマンはあまり好きではなかった。
ヴィラン(敵役)がいかにもアメリカっぽい大味なキャラばかりだし、スパイダーマンは地道な活動で困った人を救うものの、誰にも認められず仲間もいなくて疲弊するという設定が、ちょっと湿っぽくて好きになれなかったからだ。
ただ、このスパイダーマンは違う。
性格はポジティブで、ヴィランもオリジナルとは異なる。
スパイダーマンになるまでのエピソードもほぼ端折られているが、両親が亡くなったなどの暗い話が少ない分気軽に観る事ができた。

アヴェンジャーズで一番好きなキャラはキャプテン・アメリカだが、このスパイダーマンはその次くらいに好きになれそうである。


95.スパイダーマン:ホームカミング


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仕事関係で試写会に潜り込んで観る事ができた。
単純なゾンビのパニックホラーではなく、細部まで非常に作り込まれた作品である。

ソウルの郊外が立ち入り禁止区域になっていた。
出入りする車などは厳重に消毒をされている。
それは口帝疫などではなく、新たなる病原体のためだった。

ファンドマネージャーのソクは忙しい生活を送っていた。
妻は家を出て別居、娘のスアン、母親と3人で生活をしていた。
ソクはスアンの誕生日プレゼントにゲーム機を買ってくるが、それはすでに子どもの日にプレゼントしたものと同じであった。
ソクは仕事の事ばかり考え、スアンの事をまったく理解していなかったのだ。
妻はスアンの誕生日に、自分のいる釜山に来るように伝えていた。
スアンからも釜山行きを懇願されるが、ソクは仕事が忙しい事を理由に説得しようとする。
しかしスアンは聞き入れない。
やむを得ずソクは、始発のKTXで釜山に向かい、自分は午前中にソウルに戻る事にした。

翌早朝、KTXの始発には多くの乗客が登場していた。
高校生の野球チームや、途中まで乗車する老姉妹、高速バス会社の重役などである。
乗客を乗せ、KTXはソウル駅を発車しようとする。
しかし発車間際に、一人の少女が飛び乗ってきた。

KTXの車内放送では、韓国各地で暴動が起きている事伝えていた。
ソクの携帯にもキム代理から、出資した会社で暴動が起きていると連絡が入った。
しかしこれはただの暴動ではなく、病原体が原因によるものだった。
KTX内でも最後に乗車した少女が病気を発症、ゾンビと化し次々と乗客に襲いかかった。

まず、ゾンビ映画としての迫力が見事である。
途中、大量のゾンビが降ってくるシーンがあるのだが、このシーンも特撮ではなくワイヤーアクションなどで撮影しているそうだ。
列車内で津波のように襲いかかるゾンビたちにも圧倒される。

さらにストーリー構成が巧みである。
レスラーのようなヒゲ男と彼の妊婦の妻が乗車しているのだが、この二人がキーとなる。
ヒゲ男は一見粗暴のように見えるが実は非常に情に厚く理性的な男で、自分の事しか考えていないソクとたびたび対立する。
そしてさらに情の深い彼の妻が、母親のようにソアンに付き添ってくれる。
ヒゲ男たちと一緒にゾンビと戦っているうちに、次第にソクに人を思いやる心が大きくなり、ソアンとも分かりあえるようになってくる。
主要メンバーが次々と離脱して行くというのはこの手の映画のお約束ではあるが、この構成が非常に巧い。
高速バス会社の重役を最後まで悪役に仕立てている点も、巧く機能している。

ゾンビ映画と馬鹿にするなかれ、非常に完成度の高い作品だ。
ボン・ジュノの「グエムル-漢江の怪物-」レベルの作品と言っていいだろう。


94.新感染 ファイナル・エクスプレス


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今回のギンレイは「愚行録」と「しゃぼん玉」の2本。
「愚行録」はすでに観ているので、今回は「しゃぼん玉」だけ観る事にした。

原作は乃南アサで、まったく知らなかったが2017年春にシネスイッチ銀座でロードショウされた作品だ。
そこそこ期待できるかなと思って観に行ったが、なかなかの完成度の作品であった。

両親に見捨てられた伊豆見(林遣都)は、大阪でひったくりをして生計を立てていた。
しかしある晩、女性をナイフで脅そうとした拍子に相手を傷つけてしまう。
伊豆見は通りがかりのトラックに乗り込み運転手を脅し、最果ての地まで流れ着いた。

伊豆見がたどり着いたのは、宮崎県の山間の村だった。
明け方、道路に横たわっていた50ccバイクを発見し、それに乗って逃走をしようとしたところ、茂みから女性の声が聞こえた。
バイクの持ち主スマ(市原悦子)である。
伊豆見はケガをしたスマを見捨てず、なんとか彼女をバイクに乗せ自宅まで届けた。
隙を見てカネを盗んで逃げようとした伊豆見だが、スマを心配した近所の老婆たちが駆け付け、伊豆見に御馳走をすると、伊豆見は居心地がよくなりしばらく滞在する事になる。

日がな1日何もせずに数カ月過ごすと、ささくれていた伊豆見の心が穏やかになってきた。
そんなある日シゲ爺(綿引勝彦)がやってきた。
10日後に椎葉平家まつりが行われるので、その祭りで売る物を山で採るから手伝えとの事だった。
最初はあまり気が進まなかった伊豆見だが、シゲ爺に従って山に入る事にする。

やがて祭りの日がやってくる。
伊豆見は祭りの数日前から、シゲ爺とともに会場の準備を手伝っていた。
そこで美知(藤井美菜)と出会う。
美知は伊豆見に好感を持ってくれ、伊豆見も悪い気はしなかった。
祭りの準備の間に二人は距離を縮めて行くのだが、美知が半年前に大阪で通り魔の被害にあい、そのショックで椎葉村に戻ってきている事を伊豆見が知る事となる。

まず、林遣都と市原悦子のキャスティングが絶妙だ。
世を拗ねて犯罪に及んだ伊豆見が、スマの大きな心によって次第に心を溶かして行く。
二人の会話のテンポも絶妙である。
前半、伊豆見がスマの家でごろごろし続けるシーンが長いため、観ていてやや飽きてしまうのだが、その後の展開が早く、そのための布石ともなっている。
想いを寄せている美知が犯罪の被害者である事を知った後の、伊豆見の葛藤の描き方も良い。

作品の出来も良く、舞台、ストーリー展開、役者などが玄人受けしそうな感じなので、一般的にはあまり話題になってはいないものの、何かの映画賞を取っても不思議はない作品だった。


93.しゃぼん玉


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忙しかったり、上映されるのがすでに観た映画だったり、あまり興味のわかない映画だったりしたため、すっかり足が遠のいてしまったギンレイだが、今回はカンヌで賞を取った2本と言う事で観に行く事にした。

まず、コンペ部門で審査員特別グランプリを受賞した「たかが世界の終わり」。
人気作家のルイは12年前に家を出て、それ以来家族と音信不通だった。
だが余命宣告を受けたため、その事を家族に打ち明けるべく帰郷をした。

母と妹はルイを歓迎、初めて会う兄嫁もルイを温かく迎えようとした。
しかし兄のアントワーヌはなぜかイラだっており、家族の一挙手一頭足に難癖を付けてきた。
家族はオードブルや食事中に会話をするが、必ず兄がその会話を台無しにした。
ルイはその間妹、兄嫁、母と個別に話をし、最後に兄とも話をするが、どうしても兄とは話がかみ合わなかった。
そして兄は、デザートの最中にルイを強引に帰宅させようとする。
母と妹は横暴だと怒り始め、兄はさらに反発を強める。
家族が争っている中、ルイは静かに実家を出るのであった。

ハッキリ言って、何が言いたいのかよくわからない作品だ。
まず、なぜ兄がそんなにいら立っているのかがわからない。
弟に嫉妬しているのか、あるいは元々怒りっぽい性格なのか。
いずれにしろ尋常ではない怒り方なので、観ている方はかなり引いてしまう。
ルイが自分が病気である事を家族に言い出せない、と言う部分が作品の主題なのだと思うのだが、兄があれだけ怒っていれば、誰だってどんな話も言い出せないだろう。
そういう部分で、本来の主題がかすんでしまっている。
この作品が審査員特別グランプリを取ったのかと、やや疑問を感じてしまった。

続いて「エリザのために」。
こちらは監督賞を受賞している。

舞台はルーマニア。
医師のロメオには成績優秀な娘エリザがいた。
エリザは学期末のテストの成績次第でケンブリッジに留学するチャンスがあり、普通に受験すれば合格する可能性も十分あった。
しかし受験が始まる前日の朝、ロメオがエリザを車で高校に送る際、学校の少し手前でエリザを降ろすと、わずか数分の間にエリザは暴漢に襲われてしまった。
エリザが抵抗したためレイプ未遂で終わったものの、精神的ショックは大きく、初日のルーマニア語は合格点9点に対し8点しか取れなかった。
警察に被害届を出しながら、なんとか娘を留学させようと奔走するロメオ。

ロメオは、かつて彼の患者であったエリザの高校の女教師と不倫関係である事を利用し、高校の校長に再試験を掛けあったが断られてしまう。
そこで旧知の間柄の警察署長に相談すると、副市長に話を通してくれた。
副市長から校長に話が通り、なんとかエリザを救えそうになる。
しかしそのためには、エリザの答案用紙とわかるように細工をしなければならない。
その事をエリザに告げると、エリザは反発をした。
さらにロメオが不倫している事がエリザにバレてしまい、エリザはロメオの言う事全く聞かなくなる。
その上、副市長のかつての不正がばれ、検察の捜査が入る事になってしまった。
検察官はここ数日の副市長の通話履歴を把握しており、ロメオの事もすべて知っているのだった。

ロメオが少しずつ追い詰められていく様子がうまく描かれ、かなりわかりやすいストーリーである。
ルーマニアの現状や、そこから娘を救いたいというロメオの焦りも伝わってくる。
ラストは解決する部分と語られない部分があり、やや消化不良な面もあるが、現実的な着地点になっている部分も良かったと思う。
こちらの作品は監督賞を受賞していると言うのも納得できた。


91.たかが世界の終わり
92.エリザのために


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「少年ジャンプ」連載の人気作品の実写映画だ。
監督、脚本を福田雄一が担当し、役者陣も実力者を揃えているため、非常に笑える作品に仕上がっていた。

20年前、幕府が治めていた江戸に複数の宇宙人が襲来し、無理矢理開国をしてしまった。
宇宙人は「天人(あまんと)」と呼ばれて実質的に日本を支配し、幕府は傀儡政権と化していた。
天人襲来時に攘夷を唱えて戦った志士たちもいたが、その後廃刀令が実施され、彼らも普通の人間として市井で暮らさざるを得なかった。
かつての志士の一人だった坂田銀時(小栗旬)は、万屋を開いて便利屋的な仕事をしていた。
そこには剣術道場の跡取りだったものの職を失った志村新八(菅田将暉)や、天人の神楽(橋本環奈)も所属していた。

そんな江戸で、辻斬りをする者が現れた。
銀時の盟友であった桂小太郎(岡田将生)もその犠牲者となっていた。
小太郎の相棒であるエリザベスから依頼を受け、新八と神楽は小太郎を捜索に行く。
一方銀時は、刀鍛冶の村田鉄矢(安田顕)、鉄子(早見あかり)の兄妹から、兄妹の父が作った名刀紅桜の捜索を依頼される。
そして調査の結果、岡田似蔵(新井浩文)が紅桜を所有し、辻斬りの犯人である事がわかった。
銀時は似蔵と戦い片腕を落とすが、同時に深手を負ってしまう。

ストーリーだけ記すとシリアスな展開に見えるが、この話がすべてギャグベースで進行する。
しかもボケと突っ込みの間合いが絶妙のため、原作を知らなくてもかなり笑ってしまった。
特に、発明家の平賀源外(ムロツヨシ)と銀時の掛けあいは爆笑物だった。
新井浩文の岡田似蔵と堂本剛の高杉晋助の二人は、一切ギャグに関わらないという部分もメリハリになっている。

ただ、ラストのバトルシーンはちょっと長かったかな、という印象だ。
バトルシーンはほとんどギャグがなく迫力はあったものの、かなりステレオタイプでありがちなバトルだっただけに、少々冗舌に感じられてしまった。

今回は原作のエピソードのほんの一部だけで制作されたようなので、続編にも期待したい。


90.銀魂


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1932年の「ミイラ再生」のリメイク作品であるが、「ダーク・ユニバース」の第1作でもある。
「ダーク・ユニバース」とはなんぞや、と思って調べたところ、かつてユニバーサルスタジオが制作したモンスター映画をリブートするシリーズのようである。
ということはいずれ、フランケンシュタインや狼男などもリメイクされるということなのだろう。

舞台は古代エジプト。
アマネット(ソフィア・ブテラ)は女性ながら王位を継承する素養を兼ね備えており、父親からも厚い信頼を受け誰もが次期の女王であると考えていた。
しかしその後、父親に腹違いの男児が生まれたため、アマネットは王位継承者ではなくなってしまう。
悲しみに暮れたアマネットは暗黒の神セトと契約、宝石を付けた刀剣で父、腹違いの弟、そしてその母を次々と殺害してしまう。
さらにその刀剣で、パートナーに自分と同じ力を得させようとしたとき、神官たちに取り押さえられてミイラにされ、エジプトから遠く離れた地に埋められてしまった。

時は流れて現代。
イラクで従軍していた米軍偵察兵のニック(トム・クルーズ)は、相棒のヴェイルとともに命令を無視し、宝物を盗んで横流ししようとしていた。
だが企みは巧くいかず、考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)と一緒に遺跡を発掘することになる。
そこで石棺を発見し、イギリスに運ぶこととなった。

だがその石棺はアマネットが収められており、イラクを出発した段階からおかしな事が起き始める。
まずヴェイルが、突然飛行機内でナイフを振り回し始めた。
その後大量のカラスが出現し、バードストライクで飛行機は墜落する。
ニックはなんとか一つだけパラシュートを確保し、ジェニーに着けさせ脱出させた。
飛行機ともに墜落したニックは、一度は死体として病院に安置されるのだが、そこで息を吹き返す。
やがてヴェイルの幽霊が現れ、これはアマネットの呪いだという。
ニックとジェニーは飛行機の墜落現場を訪れるが、そこにいたのは復活したアマネットと、アマネットに生気を吸い取られミイラ化した人々だった。
二人はアマネットに襲撃されるが、すんでのところで救援部隊に救われる。
救援部隊は「プロディジウム」と言い、ロンドン自然史博物館の地下に本部がある対モンスターのための組織であった。
組織を統括するのはヘンリー・ジキル博士(ラッセル・クロウ)、ジェニーもプロディジウムの一員で、ミイラを本部に運ぶことが彼女の任務であった。
目覚めたアマネットの体内にマイナス38度の水銀を注ぎ込み、解剖を行おうとするジキル博士。
だがそうこうするうちに、ジキル博士の態度がおかしくなる。
彼の中にいるもう一人の人格ハイドが目覚めたのだ。

そしてハイドとニックたちが争っている間に、アマネットは拘束を解いて脱出してしまった。
アマネットは周囲の人間の生気を吸ってどんどん復活、そしてニックにかつてのパートナーにした儀式と同じ儀式を行おうとする。
ロンドンの地下に眠っていた十字軍のミイラたちも目覚め、街はパニック状態になった。

「ミイラ物」という事でホラー要素の強い作品かと思ったが、主演がトム・クルーズという事もあってか、アクションシーンがメインの映画であった。
どれだけ元の作品に忠実なのかはわからないが、特にどんでん返しがあるわけではない。
ストーリーとしては、あまり見どころはなかった。

ただ冒頭でも書いたが、「ダーク・ユニバース」シリーズの第一作という事であれば、これでいいのかもしれない。
この後は、ラッセル・クロウのジキル博士を中心に、「プロディジウム」が次々とモンスターたちを引っ張りだしてくれるようだ。
詳しく書くとネタバレになってしまうのだが、ジキル博士の部下のジェニーは当然ほかの作品にも出演するだろうし、その恋人役であったニックのトム・クルーズも、他の作品に出演する可能性を残している。

アベンジャーズやジャスティスリーグのようにシリーズ化すると予測するのであれば、この第一作は見逃してはいけない作品と言えるだろう。


89.ザ・マミー/呪われた砂漠の王女


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原作は住野よるのデビュー作で、2016年の「本屋大賞」第2位である。
個人的に「本屋大賞」は、一番信頼のおける賞だと考えている。

志賀春樹(小栗旬)は母校で国語の教師をしていたが、自分が教職にあっているかどうか疑問を感じていた。
そんな時、図書館の取り壊しが決定される。
春樹はかつて自らが在学中に図書委員をしており、蔵書のほとんどの分類を行ったのだった。

高校時代の春樹(北村匠海)は目立たない生徒で友達もいず、クラスメートも彼を名前で呼ぶものはいなかった。
教室でも常に本を読み、放課後は図書館にこもる春樹に注目をしたのが、クラスでもマドンナ的な存在の山内桜良(浜辺美波)だった。
桜良は膵臓を患っており、余命1年を宣告されていた。
にもかかわらず、常に明るく笑顔を振りまく桜良。
春樹はそんな桜良が近づいてくることに戸惑っていたのだが、桜良は構わず図書委員になって、春樹の手伝いをしようとする。
クラスでも二人は噂になり、春樹は嫌がらせを受けたりもするのだが、桜良は意に介せず春樹との関係をさらに近づけようとする。

桜良の親友の恭子(大友花恋)も、嫌がらせこそしないものの、春樹と桜良の関係を面白く思っていなかった。
しかし桜良から春樹に近づいていることがわかっていたので、春樹に対して強く意見をすることができなかった。

桜良は春樹に、次々と自分の希望を押し付けてくる。
GWには二人で泊りがけで福岡に旅行に行った。
春樹は戸惑うが、桜良の希望をかなえたいと考え旅行に同行する。
だが嘘のつけない不器用な春樹は、桜良の「私はクラスで何番目にかわいい?」という質問に、正直に「3番目」と答えてしまったりする。
桜良はちょっとがっかりするが、それでも明るく笑っていた。

桜良は文庫サイズのノートに「共病文庫」という日記を書いていた。
そこには二人の思い出がたくさん記されていた。

桜良が検査入院をしていた時、夜中に電話がかかってくる。
その様子から何かあったと考えた春樹は、病院に忍び込んで桜良と会った。
桜良の様子がおかしく、時間があまりないと考えた春樹は、検査入院の後、二人で蝦夷桜を見に行くための北海道旅行を計画する。
桜良は病院を退院した後、家で荷物をまとめ、学校の図書館に寄ってから待ち合わせ場所に来るとメールしてきた。
だが桜良が春樹との待ち合わせ場所に現れることはなかった。

全体の構図としては、「世界の中心で、愛を叫ぶ」に近い。
余命宣告された少女と主人公が、短い時間の中で思い出を積み重ねるストーリーである。
しかし決定的に異なるのは、少女のキャラクターだ。
「セカチュー」のアキも明るいキャラクターであったが、この作品の桜良の明るさは格別だ。
言葉の端々に「本当は死ぬのが怖い」という部分を見せたりもするのだが、セリフ、表情、仕草のすべてが底抜けに明るく、底抜けにピュアである。
このピュアな透明感を、浜辺美波が好演している。
TVドラマ版「あの花」のめんまを演じた時の透明感も素晴らしかったが、今回の演技も、見ていて眩しすぎるほどピュアであった。
それに対応する北村匠海の押し殺した演技も良かった。
それが本人の演技力なのか、あるいは演出によってそう見えていたのかは定かではないが、いずれにしろこの作品の中ではピッタリとハマっていた。
脇役の一晴役に、高校時代は矢本悠馬、現在は上地雄輔を配した点も、目立たないが機能している。
現在の恭子(北川景子)が桜良の手紙を読むシーンは、隣に座っていた女性がかなり大きくすすり泣いていた。

設定はラブストーリーであり、本来ならヒゲ面のオッサンが一人で観に行くのはちょっと恥ずかしい作品だ。
しかし、どこまでも透明でどこまでもピュアに突き抜けているので、ヒゲ面のオッサンが一人で観ても全然恥ずかしくなかった。
日本アカデミー賞は難しいかもしれないが、どこかの映画賞で浜辺美波が主演女優賞を取っても何の不思議もないほどの作品である。


88.君の膵臓をたべたい


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原作は未読だが「ヤングジャンプ」の人気作品で、続編やスピンオフなども発表されているようだ。

東京では、食物連鎖の最上位にいて人間を捕食する喰種(グール)による殺人事件が頻発していた。
政府は喰種対策局(CCG)によるグールの捜査を続けるものの、グールの個体数すら把握できてない状態で、事件を未然に防ぐことはできないでいた。

東京20区の大学生金木(窪田正孝)、学校の近くの喫茶店「あんていく」で出会った神代利世(蒼井優)に思いを寄せ告白をした。
利世も金木の事に気づいていたといい、首尾よくデートに持ち込む。
しかし利世はグールで、金木は捕食されそうになる。
すんでのところで一命をとりとめる金木だが、内臓を利世に破壊されていたため、死亡直後の利世の内臓を移植されることになる。
そのため金木は、グールとなってしまった。

当初、自分がグールになったことに気づかない金木。
しかしグールの特徴である、人肉以外の食べ物を受けつくなくなってしまう症状が出て、苦しみのあまり街を徘徊する。
偶然、別のグールが捕食している現場に出くわすが、さらに別のグールの西尾(白石隼也)が現れる。
西尾は先にいたグールを殺し、金木に対しても「俺の縄張りを荒らすな」と攻撃を仕掛けようとする。
そこに董香(清水富美加)が現れ西尾を撃退した。

董香は金木が通っていた「あんていく」の従業員で、店のオーナーの芳村(村井國夫)以下、従業員全員がグールであった。
さらに20区のグールのほとんどが、「あんていく」から供給される人肉で飢えを凌いでおり、自ら殺人を犯すものはいなかった。
金木も芳村から人肉を分けてもらうが、自分がグールであることを認められず、それを食べられずにいた。
その後金木は、親友のヒデから連絡を受け大学に行くのだが、そこにいたのは西尾であった。
西尾がヒデを捕食しようとしたとき、金木は目覚めてグールへと変形する。
大学で西尾を倒した金木は、董香と仲間のグール四方(柳俊太郎)に救われ「あんていく」に運び込まれる。
グールとしての生活に慣れていない金木は、ここでいろいろな事を学ぶことにした。

「あんていく」で配給される人肉は、四方が自殺の名所から運んできた死体を解体された物だった。
そのため「あんていく」に出入りするグールに犯罪者はいないのだが、CCGの捜査官真戸(大泉洋)と亜門(鈴木伸之)は、他の区から逃げ込んだグールが20区にいると判断し、区内を捜索していた。
彼らが捜しているグールは、「あんていく」に出入りするリョーコ(相田翔子)であった。
リョーコは夫のグールを二人に殺されたため、むすめのヒナミ(桜田ひより)を連れて「あんていく」に逃げ込んでいたのだ。
芳村と四方は、二人を別の区に逃がすことを計画する。
だが二人が「あんていく」を出た直後、真戸と亜門に発見されリョーコは殺されてしまう。
芳村と四方が止めるのを聞かず、正義感にかられた董香は、CCGに復讐をしようと考える。
そして金木は董香を助けようとトレーニングを始めた。

一般社会に潜む怪物というテーマだが、その王道ストーリーと言っていいだろう。
怪物たちも人の心を持っており、正体がばれないように身を寄せ合って助け合って暮らしている。
しかし中には秩序を守れない者たちがいて、そのためみんなが危険にさらされる。
主人公が怪物であるだけに、その捜査をする者たちは敵役になっている。
さらに主人公が怪物になったところからストーリーが始まり、主人公の師匠(この作品では董香)とともに捜査官に挑む。

ある意味非常にわかりやすいストーリーなのだが、アクションシーンが素晴らしく、かつグールとなった後の金木の葛藤を窪田正孝が好演しているので、一本筋の通った作品となっている。
そのほかの配役も素晴らしく、特に捜査官に不気味な雰囲気の大泉洋と熱血漢の鈴木伸之を配したことが、かなり効果的となっている。
清水富美加の演技も素晴らしく、この作品も続編が期待されるだけに、事実上の芸能界引退は非常に残念である。

唯一の難点は、亜門の持つ武器が安っぽいところか。
真戸の武器は見るからに攻撃力が強そうで、かつその武器の出どころもストーリー中で確認できるのだが、亜門の武器はデカい肉の塊のようで、武器としての意味があるのか疑問だった。
もちろん原作ではその武器の意味が説明されているのだろうが、実写映画になると絵面がかなり間抜けになってしまっていたので、原作と変えてもよかったのではないかと思う。



87.東京喰種トーキョーグール


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「君の名は。」のBR発売に合わせて放送された、「雲のむこう、約束の場所」を録画して見る。

舞台は1996年の青森。
中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は、2年生の頃から二人で小型飛行機「ヴェラシーラ」の制作を行っていた。
協力してくれるのは岡部が社長を務める蝦夷製作所で、二人はバイトをしつつここから部品の調達も行っていた。
浩紀は同級生の沢渡佐由理に想いを寄せていたが、ある日佐由理に飛行機制作の秘密がばれてしまう。
佐由理は二人の仲間となり、ヴェラシーラが完成した際には蝦夷にある塔まで飛行しようと約束する。

この頃の日本は、南北に分断されていた。
かつて北海道と呼ばれていた地は1970年代からユニオンと言う国家に支配され、呼称も蝦夷と変わっていた。
そしてユニオンは蝦夷の中心に、あたかも軌道エレベーターのような高い塔を建設していた。
三人が目指していたのは、この蝦夷にある塔だった。

3年が過ぎ、拓也は在日米軍のアーミー・カレッジに所属していた。
拓也はここで、蝦夷の塔の秘密を調査していたのだ。
米軍の調査によると、塔は並行宇宙の実在を証明した天才物理学者、エクスン・ツキノエが設計したもので、この塔を中心に並行宇宙とのシンクロを行っていた。
拓也は塔の調査をすると同時に、反ユニオンのゲリラ組織ウィルタ解放戦線にも所属していた。
ウィルタ解放戦線は、日本が南北分裂した際に家族が引き裂かれた者を中心に構成され、その中心人物は蝦夷製作所の社長岡部だった。

一方浩紀は、東京の高校に進学していた。
ヴェラシーラを制作していた中学3年生の夏休みに、突如佐由理が行方不明になってしまい、悲しい思い出のある青森を離れたかったからだ。
浩紀には東京で彼女と呼べる存在もいたのだが、どこか満たされない生活を送っていた。
そしてたびたび、不思議な世界に一人で取り残され救助を求めている佐由理の夢を見た。

行方不明になった佐由理は、東京の病院にいた。
元々持病であった睡眠障害が深刻化し、中学3年生の夏休みから昏睡状態になっていたのだ。
だが佐由理の昏睡はただの睡眠障害ではなく、並行宇宙とシンクロする蝦夷の塔と深い関係がある事がわかっていた。
佐由理は塔の設計者、エクスン・ツキノエの孫だったのだ。
そして佐由理は、昏睡状態になる直前、浩紀に手紙を書いていた。
その手紙を岡部経由で入手した浩紀は、佐由理が入院している病院に向かう。
しかし佐由理はすでに青森のアーミー・カレッジに転院した後だった。
空っぽの病室に入った浩紀は、そこで佐由理の意識と触れあう。
昏睡状態で不思議な世界にいる佐由理を救うため、浩紀は佐由理と約束した、ヴェラシーラで塔へ飛行しようと考える。

「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」はSF要素がなく、「君の名は。」もタイムスリップ物ではあるものの、登場人物の設定部分はかなりリアルであった。
だがこの作品は、中学3年生の二人が飛行機を作り始めるところからかなりSF要素が強く、かつ状況設定も南北分断された日本である。
メインテーマもパラレルワールドで、非常にSF色の強い作品になっている。

作品としては、この設定されたテーマを巧く使ってとても手堅くまとまっている。
新海誠特有の色彩の美しさは、この作品でも際立っている。
ただ、ちょっと手堅くまとめ過ぎているかな、と言う感じもした。
今から13年前、監督して長編作品2作目という事を考えれば、かなりいい作品だと言えるだろう。
ただ、ユニオンについてほとんど語られていないため、なぜ反ユニオンのウィルタ解放戦線が組織されたのか、そしてなぜ、連合軍とユニオンが戦闘の危機になっているのかがよくわからない。
そのため、残された時間が少ないと言う危機感も、ちょっと薄くなっている。

非常に綺麗にまとめられている分、もう少し感動も欲しかったかな、と言う気がした。


86.雲のむこう、約束の場所


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